14 クラ子がツッコミ
66)助手席の錦子
錦子は村上先生が運転する車の助手席に乗った。ワンボックスカーだし、運転席との距離が近いわけでも無いのだが、先生の体温が感じられるほど意識している。
当の村上先生は、運転しながら丸山先生や渋谷先生とずっとおしゃべりして、クラ子もゲラゲラ笑っている。
ここからは錦子の妄想タイム再び〜
そうね、彼との初めてのデート。車内で2人っきり。村上先生の選んだ音楽は落ち着いていていい感じ。運転中の彼はとっても優しく
「車に酔った?」って聞く。
「大丈夫よ」
「でもしんどそうだよ」
と言って彼は私の手を取る(運転中)
「冷たいな」
彼は私の手をギュッと握って離さない。
海の見える素敵な場所に車を停めると
「今だけは、生徒と先生じゃ無いっ」
とささやいて、握っていた手を優しく引っ張り、私を引き寄せるの。あっ、そして、、、
「ぎゃあははは〜〜いんもううらない〜〜」
そして、、、、
「キャ〜ここで占うのやめて〜」「ぎゃあ」
丸山先生、本当に本当に本当に。本当に💢
67)歩く錦子とクラ子
他の生徒の手前、少し離れたところで先生達の車を降りたクラ子と錦子は、すでにぐったりと疲れていた。
「でもね」錦子はクラ子に言った。
「お楽しみはこれからなの」
クラ子はドキドキした。これ以上何があると言うの?
覗きにでもいく気かしら!?
「村上先生が素敵なんだ〜」「えっ?」
何だか分からないが、錦子はきっと村上先生が好きなのね、車の中から思っていたけど。
それから歩いて宿泊施設に行った。
グラウンドや体育館なども付いている公共の施設だ。
錦子はサッカー部へ合流し、クラ子もコーラス部の集合場所になっている部屋に向かう。
1時間前に別れたばかりの渋谷先生(とおじいちゃん先生)が待っていて「遅いで!」という。
明日の大会(本来の目的)に向けての練習が始まった。
練習中すばる君は全然こっちを向いてくれない。
特別扱いされるわけも無いけどね。
まあ、そこが良いんだけどね。
惚れたもんだから仕方ない。
68)夕食タイム
夜になった。
お風呂を済ませたサッカー部とコーラス部の生徒達は、大きな食堂で夕飯を取った。
先生は先生達のテーブルだし、錦子はサッカー部の女子が1人なので、クラ子と一緒のテーブルだ。
「ねえ、錦子ちゃんは好きな人いるの?」
可愛い錦子は校内でも有名で、皆んなが興味心身。
「いえ、あの。いるんですけど片想いで、」「やだ、誰なの?」「錦子ちゃんが片想いなんて信じられない」「LINE知ってるの?」
もう質問責めで、錦子はどう答えて良いのか分からない。
「ちょっと、私の錦子をいじめないでよね」
クラ子が間に入った。
渋谷先生のために一大決心して1人で入ったコーラス部だが、今ではクラ子はリーダー格だ。何故か3年生まで頼って来る。
中学校まであまり人と関ってこなかったクラ子は、この高校で変わった。
ヨコ子やムラ子達6人と、すばる君のお陰。
《私は私》自分の居場所を見つけたから。
夕飯が終わる頃、村上先生が立ち上がった。
「始まるわ!」
錦子が興奮してささやいた。
69)マルヒナの、、
何なのこれは。クラ子はびっくりした。
サッカー部の合宿では恒例
「村上先生お悩み相談室」が始まったのだ。
「コーラス部の子もおっていいけど」
と村上先生が言った。
「あまり人に言わんとって欲しいねん」
「はーい🙋」
丸山先生が「SNSなんかにあげると、エゴサーチ丸山が取り締まるで〜」と言うと村上先生が
「お前初参加やろ」と突っ込んだ。
なんなの!?本当に裸になるの?
「1人一個やで〜〜」村上先生が言うと
「ハイっ、ハイ」サッカー部員が一斉に手を挙げた。
「ほい、お前」
「センセー、ファ、ファーストキスした後照れている彼女に何を言ったらいいですか?」
「そんなもんお前、何も言わず、おデコごつんこや」
男子「おおおおっつ」女子「ぎゃああぁぁ」
丸山「あの頃思い出すわあ〜」
渋谷「どの頃やねん」
「センセ!夏祭りデートで彼女が浴衣を着てきたらなんて言えばいいですかっ!」
今度は丸山が答えた
「わー何食べるぅ〜フランクフルトぉ?ヘ〜ンタイっ!」
渋谷「お前が変態じゃ」
男女「お、おう、、」(浴衣は?)
70)相談続き
「ハイ、しょ将来、同棲している彼女が出て行こうとした時なんと言えば良いですか?」
村上「お前が出ていくんやったらなあ、俺も出ていくわ」
渋谷「家だれもおれへんやんけ」
男女、ゲラゲラゲラ
「先生、終電で帰るという彼女を引き止めるには?」
丸山「お願いしますう〜って土下座や!、大体土下座で何とかなる」
渋谷「やっばっ」
「おデコ擦り付ける位でね😉」
生徒はどう反応していいのか分からない。質問もどんどん具体的になっていく。
「ハイ、会社に入って残業している部下の女の子に一言!」
村上、かすれた声で「一緒に帰るぞ」
女子「ぎゃ〜〜」男子「これはかっこいいー」
錦子、息も絶え絶え。
クラ子は、めちゃくちゃ笑いながら錦子を見ていた。村上先生の言葉には、ケラケラ笑っている、で、丸山先生になると、急に真顔になる。
あなた、分かり易すぎなのよ!
そんなクラ子に気がついたのか錦子が言った。
「丸山先生のはねえ、意味がよくわかんないのよね」
私だって意味なんか分からんわ!!